公開日 2022/10/26

会議で英語が聞き取れない6つの原因とは?
対処法や聞き取れるようになる勉強法を解説

あなたは今「英語での会議がつらい」「会議で英語が聞き取れない」とお困りではありませんか?
そこで今回は、そもそも英語を聞き取れない6つの原因と、その対処法をご紹介します。
最後に、「あなたが英語の会議で聞き取れるようになるための学習法」も解説しているので、ぜひ参考にご覧ください。

英語を聞き取るのが苦手な理由

リスニングスキルは手に取るように効果を感じることが難しい分野。英語講師にとっても教えることが難しく、学校の先生や英会話スクールの講師でも、リスニングを伸ばす方法を、論理的・分析的に教えてくれるケースは稀です。

そのため、リスニング力を鍛えるためには「ひたすら聞くしかない」とお考えの方も多く、学校の授業でも、「英語を聴いて、回答を選び、答え合わせをする」という流れが一般的でしょう。

しかし、これでは「どうして英語を上手に聞き取れなかったのか」「どうしらたらリスニング力があがるのか」が分からず、ひたすら問題を解いて練習するだけになってしまいます。

ビジネスにおいても、英語が聞き取れないことは致命的ですよね。例えば、上司からの指示、会議での決議、クライアントとの商談など。聞き取れなければ仕事になりません。英語の会議では慣れることも大切ですが、最短で効果の出る学習方法を始めたいですよね。

そこで今回は、第二言語習得論で注目されているメタ認知と、コミュニケーション学における効果的なリスニング法を融合し、会議で英語が聞き取れるようになる方法をご紹介します。リスニング力を磨き、明日からの英語会議で成果を出しましょう。

  • メタ認知とは「考えることを考えること」です。リスニングの前後、リスニング中の、あなたの脳内の動き(考えていること)を、客観的に考え、コントロールすることです。例えば、「なぜ会議で彼の言っている英語を聞き取れなかったのか」と考えることで、「彼の独特な発音の癖で聞き取れなかった」「分からない単語に思考を引っ張られて全体を理解できなかった」などと問題解決や改善に役立てられます。脳内でつまづいているポイントを客観的に理解することで、不安が緩和され、自信に繋がるという研究がなされています。
    グロバリでは、メタ認知を通じて、あなたのリスニングの強み・弱みを分析し、あなたに最適な学習計画を作ります。

本記事では、メタ認知を使い脳内プロセスを分解することで、普段は気づかない英語が聞き取れない原因とその対処法をご紹介します。

会議で英語が聞き取れない6つの原因と対処法

会議で英語が聞き取れない原因として、大きく以下の6つの要因が関係しています。

  • ①心理的・脳科学的状況
  • ②物理的状況
  • ③相手の状況
  • ④言語的状況
  • ⑤知識的状況
  • ⑥文化的状況

①心理的・脳科学的状況

1つ目は、心理的・脳科学的状況が原因で会議中に英語を聞き取れないケースです。

あなたが緊張・未知なことへの不安・他の業務への心配事・個人的な悩み、恐怖や不安から聴くことへの抵抗がある状態だと、脳が集中できずに、上手く英語を聞き取れない場合があります。
心理的・脳科学的状況によって英語が聞き取れない場合は、以下の対処法を試してみてください。

対処法

  • 会議が始まる前に、仕事やプライベートでの懸念点を書き出す
  • 書いたことは後で考え、今は忘れて良いこととする(例:仕事でのトラブル、終わっていない業務への焦り、家族関係での悩みなど。)
  • 会議中、聞き取れる部分をメモする
  • わからない箇所は一度忘れ(メモにあるため)、話全体に集中する
    (聞き取れない部分は、聞き取れる前後だけをメモし空欄にする or 知らない単語はカタカナでメモに残す。一度忘れ、話全体に集中する。会議後に、空欄の前後や、カタカナをヒントに他の参加者に確認をする。)

②物理的状況

2つ目は、物理的状況によって会議で英語が聞き取れないケースです。

人間の脳は、1つのことにしか集中できず、騒音や雑音、周りの環境が気になってしまうと、上手に英語を聞き取れない場合があります。

こうした場合は、米国のコミュニケーション学の教科書にも記載されている以下の対処法を試してみてください。

対処法

  • 窓を閉めて騒音/雑音が発生するリスクを下げる
  • オンライン会議の場合はネット環境を見直す
  • 快適な室温に調整しておく

③相手の状況

3つ目は、相手の状況によって会議で英語が聞き取れないケースです。例えば、そもそも相手が説明下手であったり話が飛んでしまう場合、英語を聞き取るのが困難でしょう。

また、結論が無い・声が小さい・滑舌がよくないなども、英語の聞き取りを邪魔する要因です。このような原因でお困りの場合は、下記の対処法をお試しください。

対処法

  • 相手の話し方に慣れる
    (例えば、職場で許される場合は会議をレコーディングし、聞き取りづらい方の声を何度も聞くことにより、段々とその方の話し方のクセに慣れます。)
  • 分からない部分を積極的に確認をする
    (質問ができない会議を除いて、積極的に確認しましょう。特に欧米人は、分かった振りをされるよりも確認してもらえた方が良いと思っている方が多いです。確認の方法として、第二言語習得学には「3C」と呼ばれるものがあります。)


3C確認法

英語を流暢に話せるのが理想的ですが、どうしても上手く伝わらない・聞き取れないことがあるでしょう。そんな時に知ったかぶりをするのではなく、聞き返す方法が3Cです。聞き返すことや確認をすることは、会議の目的を遂行するために必須であり、決して恥ずかしいことではありません。

以下でご紹介しているフレーズを練習をすることで、会議でも自然な会話が続きます。ぜひご活用ください。


1. Comprehension Check (自分の説明が相手に伝わっているのかを確認)
Does this make sense? (understandよりもmake senseが一般的です)
Please let me know if you have any questions.


2. Confirmation Check (自分の理解があっているかを確認)
Can I confirm what you’ve just said?
So, you mean …?
Do you mean…?


3. Clarification Request (自分の理解が十分でないと思う場合に、より明確に説明してもらう方法)

  • xxx? (わからない単語をそのままリピートします)
  • I don’t know the word “xxx”. What does this mean?
  • What do you mean by saying xxx?
  • Sorry, but could you say that again?
  • So, you mean… but could you explain the benefit again?


会議で役立つ他のフレーズとしては、こちらをご参照ください。

④言語的状況

4つ目は、言語的状況によって会議で英語が聞き取れないケースです。

言語的状況とは、単語力・文法力・発音力・リズム・スピード・リスニング力などの言語的状況が挙げられます。このような原因で英語が聞き取れない方は、下記の対処法をお試しください。

対処法

  • 単語力に関する対処
    (会議前に、会議のポイントとなる登場人物名(クライアント名、企業名、チームメンバー名など)や、プロジェクトの名前、数字(予算、納期など)をあらかじめ英語で書き出し、発音を確認しておく。)
  • リスニングの6つのステップを理解する
    (本コラム最後の「会議で英語を聞き取れるようになる学習法3選:リスニングの6つのステップを理解する」を参照。)
  • シャドーイングやディクテーションなど、あなたのレベルに合わせたトレーニングを行う


以下は、別のコラムにてそれぞれ方法をお伝えしていきます。

  • 英語を聞こえる順に理解できる力 (単語の意味づけスピード、発音の認識力)を養う
  • 発音・リズム・スピード・リンキング・リダクションを理解する

⑤知識的状況

5つ目は、知識的状況によって会議で英語が聞き取れないケースです。

例えば、普段聞き慣れない専門的な言葉は、日本語でも理解するために時間がかかったり、理解できなかったりするときがありますよね。特に病院で専門的な説明を受けるときなど、日本語であっても理解しにくいケースが多いです。

実は、これって英語でも同じ。専門分野に関しては、その分野の専門用語や背景知識が必要になります。ネイティブのように英語が話せるようになっても、自然と専門分野の単語まで身につくことはありません。

対処法

  • 日本語コミュニケーション同様に自身の専門分野で使われ単語に慣れる
    (あなたの専門分野 (会計士、医者、貿易など)で頻出する専門単語の意味、発音、使い方に慣れておく。)
  • あらかじめ状況(背景知識)を理解する
    (会議の目的や、議論するポイント、議題の背景を整理しておきましょう。その際に、英語でキーワードを書き出しおくと良いです。整理しておくだけで、「この話を今している」「この案件については議題がそれているのか」など、整理したメモをもとに状況を把握しやすくなります。)
  • イディオムは英語上級者以外は気にしない
    (イディオムは、会議の中でも3-5%程度使われていると言われています。しかし、膨大なイディオムを覚えるよりも、まずは、95-98%の基礎英語を瞬時に理解することが大切です。大半を理解できれば、イディオムの意味は文脈から推測できるようになります。)

⑥文化的状況

6つ目は、2種類の文化の違いです。文化の違いによるコミュニケーションの違いは、海外の大学では、一般教養として習うことが多いコンセプト。文化的期待の違いを理解することで、会議の振る舞い方やリスニングの姿勢がより洗練されます。

individual culture (個人主義)とは…

アメリカが代表的な例です。

  • 時間に対して、節約する(saved)・使う(spend)・無駄にする(waste)という感覚を持っている
  • 会話の要点が気になる
  • 率直なコミュニケーションを好む
  • 話者が会話の責任をもつ
  • 聞き手の解釈は、話者の言葉をもとにする
  • 曖昧な表現で聞き手が理解してくれることは基本ない
  • 論理的・効率さが要求され無意味な笑顔は不要
  • うなずきは最小限でよい
  • 頷きは「 あなたの意見に賛成」の意味をもつ
  • 人差し指で自分の鼻をさすと幼稚だと思われる
  • 間を嫌うため積極的に発言することが大切
  • 相手が喋り、自分が発言してよいタイミングがわからないときは相槌を増やすとよい
  • 結論から伝えることが大切
  • ごまかし笑顔は通じず、ばかにされているかと勘違いされ不快感を与える時がある

Collective culture (集団主義)とは…

日本や韓国が代表的な例で、主にアジア系です。

  • 効率よりも、協調を大切にする
  • 聞き手は、雰囲気や言葉の裏に隠された意図や顔の表情などの言語以外に注目をして、話者が本当に伝えたいことを理解する必要がある
  • 聞き手が会話の責任をもつ
  • 話者が率直に伝えなくても、聞き手がニュアンスから会話の意図を理解することが求められる
  • 笑顔とフレンドリーさが大切
  • 納期については明確な日程を指定する
  • 納期は、1週間ほど前倒しで伝えておくと良い (納期を守らないことが多い)

文化の違いによる誤解の例

ミスコミュニケーションの例

例①:日本人が、”It would be a little bit difficult to submit by Wed.”という曖昧な表現をしたところ、ネイティブは「難しいが、出来る」のだと理解し、お断り表現に気づけず、後日混乱が起きた。

例②:日本人が、ベトナム人に「これを水曜日までに提出してくれると嬉しいです」と曖昧な表現をしたところ、「嬉しい」なら「必須ではない」と勘違いし、水曜日の納期を過ぎ、混乱が起きた。

会議で英語を聞き取れるようになる学習法3選

最後に会議で英語を聞き取れるようになる学習法を3つご紹介します。

①メタ認知を使い、脳内を整理する

前項でお伝えした、「会議で英語が聞き取れない6つの原因と対処法」の対処法は、メタ認知を利用し、脳内の状況(考えていること)を、客観的に考え、整理してくれます。
会議の前後、会議中のあなたの脳内の状況を整理し、コントロールしていきましょう。

②聞き取れない6つの原因ごとに対処法を確認しトレーニングする

前項でお伝えした、「会議で英語が聞き取れない6つの原因と対処法」の対処法に取り組んでみましょう。特に「言語的状況」「知識的状況」「文化的状況」はすぐに身につけられるものではないので、毎日繰り返しトレーニングすることが大切です。

下記の3ステップでトレーニングできます。

Step 1 まずは知ること
(英語を知ること、ご自身の強み/弱みを知ること、最適な学習法を知ること)
例)自動車教習所で習う、標識の意味がわかる、運転方法を理解する

Step 2 できること (時間がかかっても、知ったことをできるようになること)
例) 自動車教習所で練習する、しどろもどろだが標識の意味を理解し、運転ができる

Step 3 自動化、無意識化、習慣化 (運転のように、考えずに無意識でできること)
例) 無意識に運転ができるようになる、鼻歌を歌いながら運転できるレベル

これら3つのステップを抑えてやっと、英語を負担なく聞き取れるようになります。

③リスニングの6つのステップを理解する

リスニングにはHURIER modelと呼ばれる下記6つのステップがあります。
このようなステップに分けることで、あなたが「会議で英語が聞き取れないのはなぜか」つまづきポイントが明確になります。それぞれのステップについて見ていきましょう。

① Hear 音声知覚

Hear とは、音が耳に入ってくるステップです。言語でも、騒音でも、音が耳に入ってくることを指します。

例) Apple (アップル)という音が耳に入る


② Meanings(Understand)音と意味がつながる

Meanings(Understand)とは聞いた「音と意味が繋がる」ステップです。例えば、「Apple」という音を聞いて、赤い甘いもの(意味)がイメージできるかどうかです。ほとんどの方は、このステップでつまずきます。知っている単語でも、音を聞いた瞬間に意味がイメージできないという具合です。

例) Apple (アップル)という音を聞いて瞬時に、「赤い甘いもの」とイメージができてる。

  • 英語習得では、日本語に変換せずとも「Apple」という音が、何か理解できることが大切です。

③ Remember 記憶に残る

Rememberとは、②で与えられた意味(イメージ)が記憶に残っているかどうかを指します。次々と英語が話される中で、それぞれの内容を記憶に残せているかが大切です。

例) John ate the apple.という文章が意味(イメージ)として記憶に残る


④Interpret the story(words)記憶の繋ぎ合わせ

Interpret the storyとは、意味づけされたイメージを、一貫したストーリーとして理解できるかどうかを指します。②や③のステップで脳が混乱してくると、④の記憶の繋ぎ合わせが困難になり、誰が何をしたのかがわからなくなってきます。これはよく会議などでも起こる現象です。

例) John ate the apple, but it was not tasty… という長めの文章でも、イメージ記憶がつながりあい、一貫したストーリーとして理解できる


⑤Evaluate 内容判断

Evaluateとは、④をもとに、最終的にどんな内容であるのかを判断します。

例) Johnはりんごを食べたが、あまり美味しくなかったのか。だから…。


⑥Respond 反応

内容判断ができたのちに、反応したり、質問に答えたり、自分の意見を言えるかどうかを指します。

例) I’m sorry to hear that. といった反応ができる


①〜⑥を参考にしながら、自分はどのステップでつまづいているのか考えてみましょう。
リスニングの6つのステップは、複雑であるため、一人でのワークが難しい場合があります。グロバリでは、リスニングワークをおこない、あなたのつまづきポイントと対処法を、言語習得の専門家が分析・アドバイスいたします。ご興味がある場合は、ご相談ください。

まとめ

まだまだ英語の”聴き方”に関して教わることの少ない日本では、「英語が聞き取れない」と困っている方がたくさんいらっしゃいます。

元々は私も英語が聞き取れずに苦労をした経験があります。米国に住み、毎日英語に触れ、場数を踏んで、授業中はひたすらディクテーション(聞いた英語を一語一句書き取るトレーニングのこと)を行いました。数年かけて、やっと英語を負担なく理解できるようになったのですが、振り返ると自分に最適な学習法を知らず、とても非効率な闇雲学習でした。

第二言語習得論を学んだ今、どうして英語が聞き取れないのかについて、科学的根拠を基に理解できるようになりました。

今では、海外在住経験のない多くの受講生が、リスニング力が劇的に改善されたことに喜んでくださいます。ある受講生は、「英語の会議で、ネイティブが相手でも8割以上を聞き取れるようになった」と話してくださいました。


このように、グロバリでは、第二言語習得論という科学的根拠を基に、あなたに最適なトレーニング方法をご提案します。今回は、その一部をお伝えいたしましたが、言語習得はまだまだ深い分野です。

「会議で英語が聞き取れない」とお困りでしたら、お気軽にグロバリにご相談ください。

言語習得学の専門家
グロバリ代表・川﨑あゆみ
講師歴10年以上、延べ3000名以上に英語を指導。英語が通じず、米国で自信を喪失した自身の経験から、日本人が英語を効率よく習得し英語でも人生でも成功できる方法を求め、10年以上かけて、独自の「グロバリメソッド™️」を開発。論文・学会発表を行っている。

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